・外国人労働者のメンタルヘルスって採用に関係あるの?
・外国人労働者のメンタルヘルスをケアする具体的な方法は?
このページでは、そんなあなたの疑問に社会保険労務士の岡本雅行(Suncha社会保険労務士事務所代表)がズバリお答えします!
外国人の雇用をこれからお考えの方や、採用した外国人にさらに活躍して欲しいと考える方が、今すぐに実践できる内容です。
更に、企業が外国人採用で有利になる制度のご紹介と制度の導入方法もお伝えします。
どうぞ最後までご覧ください。
↓この記事を書いた人↓
岡本雅行(社労士)の自己紹介と職務経歴
外国人労働者のメンタルヘルスをケアする重要性
「外国人労働者のメンタルヘルス」と聞くと、あまり馴染みのない言葉かもしれませんね。
でも実は、採用で成功している企業の多くは、当たり前のこととして取り組んでいます。
外国人労働者のメンタルヘルスケアが重要なことは、彼らの状況を考えれば理解できるでしょう。
- 気軽に相談できる家族がそばにいない
- 会社の同僚とのコミュニケーションがスムーズにできないケースが多い
- プライベートで交流する人も限られている
生まれ育った国を離れて、日本で働いている外国人労働者は、上記のような状況に陥りがちです。
あなたの親しい人で、こうした状況に置かれている人がいたら心配しますよね?
外国人労働者の不安を企業側がケアすることで、彼らのメンタル不調を未然に防止できるという効果に留まらず、外国人労働者の企業に対するロイヤリティ向上にも繋がります。
こうした対応の評判は、彼らの属するコミュニティ内で自然とクチコミで広がっていきますので、結果として企業の採用力の強化にも結び付きます。
外国人労働者のメンタルヘルスをケアする方法
では、具体的に何をすれば良いか、企業でどんな取り組みができるのかをお伝えします。
①:良い意味でおせっかいな社員を世話役にする
「日常的なコミュニケーションを強化する」
当たり前かもしれませんが、これが大切です。
そんなことは分かっている!
でも、言葉の問題があるでしょう?
と、あなたは感じたかもしれませんね。
でも、言葉の問題は一旦忘れて取り組んで欲しいことがあります。
それは、社内で「良い意味でのおせっかいができる人」を外国人労働者の世話役に任命することです。
世話好きで面倒見の良い人が、あなたの会社にもいると思います。
もし、我が社にはいないなあと感じても・・・ぜひ、現場の社員に聞いてみてください。必ずいるはずです。
こんな人に「外国人労働者のケア役になって欲しい」と社長が伝え、そのことを社内に周知します。
本来は世話好きな人でも、
- 言葉がわからないので、自分は関わらない方が良い
- 社長(人事部等)の役割に自分なんかが関わってはいけないし、関わる立場でない
と、外国人労働者とは距離をおいて状況を見ることが多いです。
ケア役に任命された社員が、外国語で会話できれば最高ですが、そうでないケースが殆どだと思います。それでも構いません。会話はコミュニケーションの重要な要素ですが、全てではありません。
- なんだか今日は元気がないなあ、何かあったのかなあ…
- いつもよりも眠そうにしていたなあ、しっかり睡眠はとれているのかなあ…
- 今朝はいつもよりも活き活きしていたぞ、きっと良いことがあったんだろう…
- 最近、少しやせてきた(太ってきた)気がする、食事はしっかりとれてるのかなあ…
等々の変化に気付くことが、ケアのキッカケとなります。変化に気付けば対処が可能です。
具体的な対処は会話ができる社員に任せれば良いのです。中小企業では、特に役割分担が大切です。
相手に関心を持ち続けることが得意な社員に、外国人労働者の問題発見の役割を担ってもらうのです。
②:外国人受け入れ可能なメンタルクリニックを見つける
役割分担が必要と記しました。当然、社外にも役割分担先を見つけるべきです。
一番便りになるのは「医療専門職」の方々、すなわち、メンタルクリニックですね。
最近は、外国語対応可能な可能なクリニックも増えてきましたが、まだまだ数は限られています。
必要に迫られる前に、外国人の受け入れが可能なメンタルクリニックを探しておきましょう(オンライン診療可能なクリニックもあります)。
また、メンタルクリニックだけでなく、外国人労働者のかかりつけ医も探しておきましょう。
③:社内の体制を明確にし、周知を徹底する
- 良い意味でおせっかいな社員を外国人労働者の世話役に任命する
- 外国人対応が可能なクリニックを探す
以上の対応ができれば、メンタルケアの第一歩は踏みだしたことになりますが、最後の仕上げが必要です。
それは、
外国人労働者の採用・活用で中小企業が成功するためには、会社全体の取り組みとすることが大切です。
誰がどんな役割で外国人労働者をケアしているかを社内に周知することは、直接的には外国人労働者と関わりのない日本人労働者が、外国人をケアする日本人労働者をサポートすることに繋がります。
④:外部機関を活用する
医療専門職の活用について記しましたが、それ以外にも積極的に外部を活用しましょう。
行政機関や外国人向けのサポートを実施している地域の団体等も活用すべきです。外国人労働者が住んでいる地域との接点を見つけてあげることも有効です。
また、Visa関連で行政書士に相談している企業は多いと思いますが、弁護士、社会保険労務士の中にも外国人労働者のサポートをしている人は多いので彼らの力も活用しましょう。
日本人労働者に対するメンタルヘルスケアも重要
ここまで読んでいただいたあなたは、外国人労働者に対するメンタルケアの重要性を理解いただけたと思います。
と同時に、
メンタルヘルスのケアって、
日本人労働者にも必要だよな
と感じたのではないでしょうか?
その通りです!日本人労働者に対しても、メンタルヘルスケアはもちろん重要です。
なんとなく元気がない社員が多くて、職場の雰囲気もどんよりしている環境では、メンタル面に悪影響を与えます。
あなた自身が、社内の日本人労働者に対するメンタルヘルスケアが不十分と感じているのでしたら、外国人労働者を雇うのは時期尚早かもしれません。
まずは、日本人に対するメンタルヘルスケア対策を講じてから外国人を雇いましょう。
外国人の採用で成功したい企業が知っておくべき事
外国人労働者の採用で成功したい企業にとって、メンタルヘルスケアが不可欠なことはご理解いただけたと思います。
よし、今からしっかりとメンタルヘルスケアに取り組もう!!
と思ったあなたに、有益な情報です。
①:経済産業省が推進する健康経営
あなたは、「健康経営」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
2013年から取り組みが始まり、既に多くの企業が取り組んでおり、その数は年々増えています。
引用元:経済産業省 健康経営の説明文健康経営とは
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです。
健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定が始まり、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」が創設されました。
②:健康経営優良法人認定制度
健康経営への取組の代表的なものが、「健康経営優良法人認定取得」です。
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。
引用元:経済産業省 健康経営の説明文
③:健康経営優良法人認定取得のメリット
健康経営優良法人の認定取得企業には様々なインセンティブがありますが、外国人採用で成功したい企業にとってのメリットは、
健康経営優良法人の認定企業は、在留資格申請時の企業カテゴリー1として扱われる
ということです。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「経営・管理」「企業内転勤」などを申請(新規、変更、更新)する際に、申請人が所属する会社(団体)は4つのカテゴリーに分類され、審査に際して異なった扱いがなされます。
↓参照先↓
出入国在留管理庁|在留資格「技術・人文知識・国際業務」の説明文
カテゴリー1(9)の中に
(8) 経済産業省が所管する「健康経営優良法人認定制度」において、指定審査認定機関から「健康経営 優良法人」として認定を受けているもの
とあります。
(7)厚生労働省が所管する「優良派遣事業者認定制度」において,指定審査認
引用元:出入国在留管理庁|カテゴリー1基準の説明pdf
定機関から「優良派遣事業者」として認定を受けているもの。
社員のメンタルヘルスケアにもなり、カテゴリー1として認められれば、更に嬉しいですよね。
健康経営の優良法人認定を取得する方法
では、健康経営優良法人の認定は、どうすれば取得できるのでしょうか?
昨年度のスケジュールですが、このサイトに詳しく記載されています(健康経営優良法人の認定は、毎年10月頃が申請締切になります)。
↓参照先↓
健康経営優良法人の認定を受ける申請方法
但し、中小規模法人では、健康経営優良法人の認定申請の前に、健康宣言事業に参加していなければなりません。
東京都の企業の場合は、協会けんぽ「銀の認定」を最低でも取得しておくことが必要です。
「銀の認定取得」には、健康企業宣言をした後に最低でも6ヵ月以上の取組が必須ですので、これから取り組みを始める企業は、1月~3月の間に活動をスタートさせる必要があります。
健康経営優良法人の認定は、そこまでハードルが高いものではないですが、やはりここでも、外部の専門家の力を借りることも検討していただければ、より確実に達成できます。
まとめ
外国人労働者のメンタルヘルスケアに取り組む重要性、ならびに具体的な方法をご理解いただけましたでしょうか?
もしあなたが、
- 知識としては理解できたけれども、
具体的アクションが今一つわからない - 是非取り組んでみたいとは思うが、
業務もあり、正直、そこまで手が回らない - 社長や上司が理解してくれるかが不安
等のお悩みがある場合は、ぜひ、私までご連絡ください。
あなたとお話しできるのを楽しみにしております。
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