外国人労働者の育児サポート【担当者必見】5つの注意点をプロが解説!

近頃、外国人労働者の出産・育児に関するご質問を受けることが増えてきました。

妊娠した本人を対象とした記事や、妊娠した本人をお世話する医療関係者や保育関係者を対象とした記事はインターネット上に散見されますが、外国人を雇用している企業担当者向けの記事は多くはありません。本記事では外国人を雇っている企業の担当者に役立つ情報をお届けします。

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目次

注意点:妊娠~出産までの期間

1.妊娠がわかった段階ですべきこと

妊娠がわかった段階ですべきことに、特別なことはありません。日本国籍の社員と同じです。
本人の意向を確認して、意向を尊重した出産ができるように会社としてサポートしましょう。
ちなみに、妊娠がわかった段階で、本人がまず行うべきことは

・市町村への妊娠の届出

です。届出をすると本人に母子手帳が交付されます。

出産までの期間に本人が利用できるサポートは、会社の制度、本人の働き方、住んでいる市町村により異なります。外国人同士のコミュニティからこうした情報を得ることが多いとは思いますが、日本での滞在期間が短く情報収集が難しそうな外国人労働者には、会社から積極的に情報提供しましょう。外国人向けに記載されているWebの情報を伝えるのも有効です。その一例としてこども家庭庁のサイトを紹介します。
こども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト

技能実習生の妊娠がわかった場合は、管理団体に連絡を取り、その後の対応を協議しましょう。
妊娠を理由に帰国を強要することは法律違反です。母国での出産を本人が希望する場合は、一時帰国して出産後に再度来日し、技能実習を続けることは可能です。

出産のために一時帰国をする場合でも、一定期間は働き続けるケースもあると思われます。妊娠がわかった社員が職場で働き続ける場合は、同じ職場で働いている社員の協力が不可欠です。お互いが気持ち良く働ける様に、同じ職場のメンバーへのフォローが大切です。特に、外国人労働者と日本人労働者とのコミュニケーションが少ない職場では、会社としてフォローしましょう。対象労働者の上長からのフォローはもちろん大切ですが、こうしたフォーマルな支援だけでなくインフォーマルな支援も大切です。良い意味で”おせっかい”ができる社員からフォローして貰える様に働きかけましょう。

「育児復帰支援プラン」の作成


育児休業の取得及び職場復帰を円滑にするために事業主が作成するプランです。妊娠がわかった段階で作成することで、計画的かつ効率的なフォローしやすくなります。また作成は両立支援等助成金を支給要件の一つでもあります。いろいろな効果が期待できますので、作成をお薦めします。
厚生労働省 育休復帰プラン策定のご案内
↑ 詳細はこちらをご覧ください(外国人を対象とした記載ではありません)

2.出産時にすべきこと

ご本人が出産した際にすべきことをまとめました。基本的にはご本人やご家族がする手続ですが、これらの手続きに漏れがあると、その後に企業が実施すべき手続がスムーズにできなくなることがあります。ご本人が産前休業に入る前に情報提供することをお薦めします。

出生時の手続
① 出生届を日本の役所に提出する。
出生届を出さないと、子どもの住民登録ができません。健康保険への加入も、在留資格の申請もできなくなります。
出生届は、赤ちゃんの生まれた場所、一時的に滞在している場所の市区町村の役所にも出すことができます。(父母のどちらかが日本人の場合は本籍地も可)
出生届を提出後は「出生届受理証明書」または「出生届記載事項証明書」と住民票(世帯全員分&マイナンバー有)を取得します。

② 入管(出入国在留管理局)に申請する
就労系の資格で働いている人の扶養に入れる場合には、在職証明書が必要となりますので予め準備をしておくと良いでしょう。
親の在留資格で子どもの在留資格が変わります。家族滞在の資格となることが殆どですが、親の資格が
・特定技能1号
・技能実習
・短期滞在
・研修
・家族滞在
の場合は、家族滞在の資格は認められません。行政書士等の専門家に相談することが必要です。(できるだけ早い段階での相談が好ましいです)

③ 本国(大使館・領事館)で登録する。
本国へも登録が必要です。国により内容が異なります。特定の国からの労働者が多い場合は、大使館や領事館の所在地や、手続の概要を企業担当者が情報収集しておいて、必要に応じて伝えると良いでしょう。

外国籍の子どもを積極的に受け入れている保育園は限られています。本人に情報提供できるように、企業として調査し、情報を蓄積しておきましょう。

注意点②:出産後

育児休業に関して会社が実施すべきこと

育児休業については、外国籍と日本国籍の方とで取り扱いに違いはありません。
育児介護休業法に則って然るべき措置を取る必要があります。


以下、参考までに、育児介護休業法の令和7年4月1日から改定情報のポイントを記します。

詳細は下記、厚労省の資料を参照してください。https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

今回の改正の一環として、令和7年10月1日から
・柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知と意向確認
が義務付けられます。

3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は柔軟な働き方を実現するための措置と選択した制度を周知した上で、制度利用の意向の確認を、個別に行うことが義務付けられます。なお、これは外国人労働者にも適用されます。

厚労省のホームぺ―ジには、育児介護休業法についての資料が多言語で用意されていますので活用しましょう。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/02_ch.pdf

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/02_vi.pdf保育園情報の提供

注意点③:職場復帰後

保育園を利用して勤務する外国人社員も多いと思いますが、日本人以上に”保育園問題”が外国人にとって深刻だという声もあります。保育に関する情報を提供しましょう。

  • 保育園情報の提供:企業が自治体やNPOと連携し、外国人従業員向けの保育情報を整理し配布。
  • 通訳や翻訳サポート:保育園とのやりとりを円滑にするために、翻訳アプリや社内のバイリンガルスタッフのサポート体制を整える。
  • 行政情報の提供:保育無償化や通訳サービスとの提供等を実施している自治体もあります。

これらの取組より、外国人社員への支援がより実効性のあるものになります。

また、育児休暇制度や柔軟な働き方の導入等、日本人社員にも共通する制度整備を進めることも大切です。

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