2024年5月、従来の技能実習制度に変わる「育成就労制度」の概要が厚生労働省から発表されました。
このページでは、育成就労制度の特徴をまとめて解説し、さらに、実務を担当する専門家(4名)からのコメントもあわせてお伝えします。
私がその道のプロに直接聞き取りをした内容ですので、ぜひ最後までご覧きただき、あなたの業務にお役立てください。
↓この記事を書いた人↓
岡本雅行(社労士)の自己紹介と職務経歴
育成就労制度とは?
技能実習制度や特定技能制度を運用する中で、明らかになってきた各種課題を解決する制度です。制度の主旨について、以下の記述があります。
技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況に鑑み、就労を通じた人材育成及び人材確保を目的とする新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設し、育成就労計画の認定及び監理支援を行おうとする者の許可の制度並びにこれらに関する事務を行う外国人育成就労機構を設けるほか、1号特定技能外国人支援に係る委託の制限、永住許可の要件の明確化等の措置を講ずる。
育成就労制度の特徴は、以下の通りです。
労働環境の改善:技能実習制度における問題点を解決するために、育成就労制度では労働環境の改善が強調されています。適切な労働条件の確保や労働者の権利保護が重視されます。
就労期間の延長:従来の技能実習制度よりも長期間の就労が可能とように設計されており、労働者がより安定して働ける環境が提供されます。
適正な賃金の保障:育成就労制度では、適正な賃金の支払いが義務付けられており、労働者が適切な報酬を得られるようになっています。
監督とサポートの強化:労働者の権利を守るために、制度の監督とサポートが強化されています。これには、労働環境のチェックやトラブル発生時の対応などが含まれます。
2027年までに開始されるとのことですが、現時点では、厚生労働省の発表資料以外に具体的な内容は明らかになっていません。制度の詳細は厚生労働省のサイトをご確認ください。
この記事では、著者の周りで外国人の就労支援に携わっている人たちが、育成就労制度についてどの様に評価しているのかについてのインタビュー結果を記載します。
実務のプロや関係者に聞きました【2024年8月】
インタビューしたのは、以下の人たちです。
- 千葉県で人材紹介業をしているベトナム国籍のHさん
- 群馬県で外国人を含む人材紹介業をしているKさん
- ミャンマーで、日本への送り出し機関を経営しているKさん
- 外国人の入国管理業務に携わっているTさん(行政書士)
千葉県で人材紹介業をしているベトナム国籍のHさん
まずは、千葉県で特定技能実習生や高度人材を日本企業に紹介している、人材紹介会社の責任者(ベトナム国籍)のHさんです。
今までの技能実習生の制度と比べて明らかに改善された良い制度だと思います。
技能実習制度は、労働環境に問題がある職場で我慢しながら仕事をする人も多く、失踪を選ぶ人もいる等深刻な課題になりましたが、新制度では、人権尊重の政策として、一定以上の水準を満たせば、2年目から転職できるのを認めているのは、一番良いところだと思います。
期間の定めなく日本で働きたい人にチャンスを与えるだけでなく、短期間で働きたい人にもある程度の日本語能力を求めているのは、日本語能力を来日までに高めようという意識を持たせることにも繋がり易いと思います。
新しい制度が、早くスタートできると良いと思います。
群馬県で人材紹介業をしているKさん
Hさんと同じ人材紹介事業を群馬県で経営している、日本国籍のKさんです。
名称変更だけという印象です。技能実習生のネガティブイメージを払拭するための制度で、技能実習制度から特定技能制度への移行がうまくいかなかった点をカバーする狙いがあると思います。
外国人労働者の転職が新制度では容易になる様ですが、地元(群馬)で働いている人が全て、東京に行ってしまうかというと、そんなことはないと思います。
東京は楽しいことも多くても、物価も高く、住みづらい面があるということは、彼らも知ってます。相当の給料差があれば別ですが、会社と良い関係ができていれば、外国人にも情があるので今の会社で働き続ける人が多いのではないでしょうか。
日本で働く外国人の動向には、実務的にはあまり影響がないだろうと思います。
それよりも、外国人をサポートする側がしっかりしなければならないと思いますね。登録支援機関の選定が今以上に厳しくなるでしょうし・・・弊社も、今まで以上に、しっかり経営しなければならないと感じています。
ミャンマーで、日本への送り出し機関を経営しているKさん
数年前にミャンマーに移住し、現地で日本への送り出し機関を運営しているKさんです。
ミャンマー人たちは、期待していると感じます。
「仕事変われるんだ!!」という希望ですね。転職前提で就職を考えていなくても、
”仕事や職場が合わなかったらどうしよう?””続けられるのかなあ”と不安を持つ人はいます。こういう人にとっては「条件はあるが転職できる!」というのは、不安を和らげる要素になり、彼らに気持ち的に余裕を与えると思います。
日本人の雇用主の中には「逃げられてしまう!!」と感じる人がいる様ですが、日本人でも3年以内で転職する人はいるし、極端な例だとその日に辞める人もいますよね。
制度の問題として捉えたり、ミャンマー人等、国籍の問題として捉えるのは違うと思います。法律が変わることで、企業活動が制約されると考えるべきではないと思います。
制度導入に合わせて、日本人が変わる必要があると思います。日本人が変わらないと!日本が変わってもらうキッカケになって欲しいです。
外国人の入国管理業務に携わっているTさん(行政書士)
最後に、以前、外国人労働者の失踪に関してインタビューした、行政書士のTさんです。
制度を利用して日本で働く人たちに何が必要かを考えます。今以上に多くの人が日本で働く様になると思います。そうすると、彼らを職場で管理する人たちが大切になってくると思います。
様々な疑問に応え、リーダーシップを発揮し、教育し、管理する。場合によっては個人的な悩みの相談にも親身になって応える。こういう役割を果たす人たちの重要性が増すと思います。
日本人だけがこの役割を果たすのは限界があると思います。職場の同じ国の出身者が役割を担うのが自然だと思います。既に、技人国のビザで働いている人は最適だと思います。
現場で働く人が増えれば、その人たちを管理する人も必要になる。この対策を取る必要がありますし、いち早くこの対策を取った企業が新制度導入後に成功すると思います。
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外国人労働者が失踪する理由3選【実録】行政書士が聞いたリアルな本音
まとめ
いかがでしたか?
冒頭にも記しましたが、新制度の詳細はこれから明らかになると発表されています。詳細が明らかになれば、あなたがすべきこともはっきりすると思います。
現時点で活動できることには限界があると思いますが、この記事があなたの今後の活動の参考になれば幸いです。
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