外国人労働者とのコミュニケーション問題｜5つの実践的な解決策と注意点

2024年11月6日

外国人労働者とのコミュニケーションをもっと円滑にしたい！
外国人労働者を雇用している人が常に考えているテーマですよね。
本記事では、外国人労働者とのコミュニケーションをより効果的にする策を提案します。
あなたのお悩みを少しでも解決できれば嬉しいです。

外国人労働者とのコミュニケーション問題

①：言葉の壁

外国人労働者とのコミュニケーションにおいて、最も大きな課題となるのが言葉の壁です。日本語が母国語ではない労働者にとって、日常会話はもちろん、業務に関する指示や説明を理解することが困難な場合があります。

外国人を雇っている会社の社員さん達と話しをしていて
「外国語に対する苦手意識があるのかなあ？」と感じることがあります。
学生時代に英語を学んでいたにも関わらず十分に英語が習得できなかった経験から
「言葉の違いを乗り越えるのは難しい」と思い込んでしまって、
苦手意識から積極的な関与をしていないケースも見受けられます。

②：文化の違い

文化の違いに起因する価値観の相違も、コミュニケーション問題の要因の一つです。
言葉遣いや態度、コミュニケーションスタイルの違いから、誤解や摩擦が生じる可能性があります。

例えば、時間に対する感覚が異なる文化圏もあります。遅刻や納期遅延を繰り返し、何回指導しても、改善の兆しが見られない。こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
こうなると、

”仕事に対する取り組み姿勢が根本から違うのかなあ？？？”
”勤労観の違いは変えられないよなあ？？？”　

と感じてしまいがちです。

③：日本人スタッフの認識

日本人スタッフ間の認識も、コミュニケーション問題に繋がります。

日本人スタッフが、外国人労働者の文化や価値観を理解していないと、コミュニケーションの際に配慮が足りず、誤解を生んでしまうことがあります。

外国人労働者は、日本の文化や社慣習に慣れていないため、日本人スタッフの言動や行動を理解できない場合があります。

例えば、日本人スタッフが冗談を言ったつもりでも、外国人労働者にとっては失礼な言葉に聞こえてしまう場合や、日本人スタッフが当たり前に思っていることが、外国人労働者にとっては理解できない場合などがあります。

コミュニケーション問題の解決策

”もっと気楽に考えましょう”　とアドバイスすることがあります。
全てのコミュニケーションを円滑に交わす必要があるかというと、そうでもないからです。
「業務で必要なコミュニケーションは限られている」と捉えると気持ち的に楽になると思いますし、
実際、限られたコミュニケーションで事足りるケースも多いのではないでしょうか。
日本人同士の仕事上のやりとりでも、コミュニケーション範囲や量は意外と限られていると思います。

コミュニケーションの中身を明確にすることが、まずは大切です。

どの様な場面で何に関するコミュニケーションが必要かを列挙することをお薦めします。
その上で、一つひとつ、優先順位をつけて対策するのです。

この際、コミュニケーションの重要度とコミュニケーション頻度の２つの視点で捉えるのが効果的です。

①：重要度が高いコミュニケーションから改善する

最重要なのは、安全衛生に関する項目です。
従業員やお客様の安全衛生面に関して、コミュニケーションロスによる事故は許されません。
最優先で取り組む必要があります。
既に対応済とは思いますが外国語でのマニュアル等の整備は必須です。

「もちろん取り組んでいる。
　文字だけでなく動画でのマニュアルも整備している！！
　それでも、伝わらないから困っているんだ！！！」　

こんなケースもあると思います。
この場合は「マニュアル通りにアクションする訓練≒”身体で覚える訓練”」を重視しましょう。
求められるアクションが徹底される様に”身体で覚える訓練”を繰り返すのです。
特に、緊急時の対応に関しては、自然と体が動くようにアクションを反復訓練しましょう。

②：頻度が高いコミュニケーションを改善する

頻度が高い項目に関しての改善に役立つのは「ＤＸ化」と「日本人社員の外国語スキルの向上」です。

外国語でのコミュニケーションを補助するアプリケーションは色々とあります。
アプリを活用すると同時に、報告フォーマット等を自社で電子化することもお薦めです。
例えば、日報や週報等に記載してもらいたい内容をパターン化し、アプリ化します。

また、コミュニケーションは双方で成り立つものですから、日本人側の取り組みも不可欠です。
コミュニケーション頻度が高い要素については、日本人社員も外国語でコミュニケーションできる様に学習することが必要ですし、会社としての学習をサポートすることが大切です。

③：文化の違いだと思い込まない

文化の違いによるコミュニケーション上の問題を解決する手段の第一歩は、逆説的ですが
「文化の違いによる問題として扱わないこと」だと思います。

改善を図りたい事象は本当に文化の違いによる問題に起因しているのでしょうか？
そこまで深いレベルを考慮し、対策しなければ解決できないのでしょうか？

職場でのコミュニケーショで、根底の価値観が影響を及ぼしているケースはどの位あるのでしょうか？
もっと単純な問題に起因しているとは考えられないでしょうか？
例えば、遅刻が多い外国人労働者がいるケースで考えてみましょう。

業務開始時刻は明確になっていますか？
目に見える形で周知されていますか？
日本人従業員で業務開始時刻になっても、直ぐに仕事に着手しない人はいませんか？
日本人従業員で遅刻が多く、注意しても改善せずに遅刻を繰り返す人はいませんか？

これらが職場で見られるならば、外国人労働者の遅刻の原因は、
職場内ルールが明文化されずに、徹底されていないことと捉えられます。

”いやいや、外国人が働く前には何の問題も生じていなかった”

と言う人もいるかも知れませんが、問題が生じていなかったのではなく、
お互いに慣れあいになっていて「職場の慣習に異議を唱える」人がいなかっただけではないでしょうか？

ある職場では、お客様からのクレームの初期対応を外国人労働者にして貰う様に指示したところ

「対応の最終判断を下せるのは社長なのに、　何の決定もできない私が、なぜ、初期対応するのか？」と質問されたそうです。

なるほど、こうした考え方は文化の違いに起因すると考えられると思いますが、単に、
「初期対応時のルールや心構えをマニュアル化していなかった」
と捉えることもできると思います。
マニュアルに基づいて訓練していれば、その際に「なぜ、社長が初期対応しないのか」を
説明できたと思います。

④：文化の違いによる問題への対処

とはいえ「文化の違いに起因する問題」もあると思います。
解決のポイントは、

違いの明確化
対処のルール化

です。

違いの明確化

外国人労働者のアクションで問題となっているのは何で
その原因と考えられる文化的な違いはどの様なものか

を明文化し、双方が認識することから始めましょう。違いが分からなければ、改善は図れません。

例えば、
・フレンドリーな関係の中でのやりとりを重視する国出身の外国人が相手への敬意がない表現をする
・相手の気持ちを察することに不慣れな外国人が直接的な感情表現をする
・対立を避けることを重視する文化で育った外国人が、意見を求められてもあいまいな表現に終始する
ことがあります。
この様な行動を見て感じた違和感がコミュニケーション問題に発展することがありますが、意図的に行動している訳ではないので「自分の言動が相手に違和感を与えた」と伝えなければ相手は気付きません。
違和感を与えるアクションを明確にして、アクションを変える様に促せば、発生頻度は減ると思います。発生頻度が減れば、それがコミュニケーション問題に結びつくことは少なくなります。

対応のルール化

次に、問題アクションが発生した場合の対応を整理しましょう。
問題となるアクションを根絶することは難しくても、アクションが起きてしまった際の、業務への悪影響を低減することは可能です。

起きてしまったことへの周囲も含めた対処方法と
本人へのフィードバック方法を整理しましょう。

例えば、遅刻や急な欠勤の場合

業務開始時刻になっても出勤していない場合に、何分経ったら、誰が、本人に連絡するのか
出社して本人が実施予定としていた業務の把握方法
本人が実施すべきだった業務を誰が対応するのか
本人が出社いた際に、誰が、どの様にフィードバックし、改善を促すか

を決めておきます。

前述のコミュニケーションの取り方の様な問題については、
直接のやり取りが発生した後に、やり取りを振り返る仕組みを作るのが有効です。
日報提出をルール化して、コミュニケーションについて記載する欄を設ける等の対策がお薦めです。直接的なやりとりが発生した直後は、そのやり取りを冷静に受け止めることが難しいですが、一定時間経過後に、やりとりを振り返って整理することで、何を改善すれば良いかも伝わりやすくなります。