外国人労働者受け入れの今後|雇用の流動化への対応の秘訣 中小企業編

2024年、外国人労働者の受け入れが加速しました。

インバウンド需要の増加や日本人の労働力人口の減少を背景に、今後もこの傾向は続くと予想されます。

一方で、外国人労働者の戦力化に成功している中小企業に、大きな影響を与える「外国人労働者の雇用の流動化」が始まっています。

本記事では、決して看過できない外国人労働者の雇用の流動化について解説し、中小企業が取り組むべき対策をお伝えします。

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目次

対応策を考える際に土台となること

外国人労働者の状況は様々なので、一律の対応ではなく、個別の状況に応じた対応が求められますが、
彼らは真剣に自分たちの将来(キャリア)のことを考えているという点は、対策を考える際に、根底に置くべきです。

外国人労働者は自分たちのキャリアアップについて非常に真剣に考えています。この姿勢は、多くの日本人労働者よりも積極的である場合もあります。今の会社ではキャリアアップが図れないと捉えた外国人労働者は、転職を志向し始めます。

あなたが、彼らの要望に敏感で、要望に応える努力に取り組んでいる場合は問題ないでしょうが、
もし

  • 彼らの要望に気付いていない
  • 彼らの要望を気付かないふりをしている

のでしたら、早急に関わり方を変えるべきです。

企業が取り組むべきこと

外国人労働者に自社でキャリアアップが図れそうと思ってもらうためには、自社で働き続けた場合に、どのような選択肢があるのかを示すことが必要です。
具体的には

  • キャリアプラン
  • 評価制度
  • 相談体制

の整備が求められます。

キャリアプラン

ビザ申請時に添付資料として作成する場合もあるので、

キャリアプランは既にある!

という企業も多いとは思いますが、その内容が大切です。

自社で働くことで彼らにどんな可能性が広がるかを示せるプランになっていますか。3年後、5年後、10年後に、自社で何ができるのかが明確ですか。個々の成長に合わせた長期的なプラン提示が必要です。

また、キャリアプランを実現してもらうと本気で経営者が考えているかも大切です。「うちの会社にはどんなサポート制度がありますか?」と聞かれた時に明確に答えられますか?

更に、キャリアプランやサポート制度が外国人労働者にしっかり伝わっているかも確認が必要です。言葉の壁の問題等でせっかくの制度が彼らにきちんと伝わっていない会社も散見されます。

評価制度

キャリアプランを実現するための道しるべとなるのが、評価制度です。評価制度については、以下の記事を参照してください。

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20名以下の企業が外国人人材の評価制度を作成する際の3つのポイント

相談体制

キャリアパスや評価制度を真に機能させるためには、外国人労働者から相談を受ける体制をしっかりと築く必要があります。

現場レベルでの業務に関する相談体制が整っている会社は多いと思いますが、中長期的な会社の魅力を伝えるためには、それだけでは不十分です。

会社の安定成長は、社員の成長の基礎となります。この視点で捉えると、会社の今後のビジョンを語れる人(多くのケースは経営者)と相談できる体制が必要です。

また、永住権を取得して日本に住み続けたいと考えている人に対しては、外国人特有の課題(プライベート面も含む)に関する相談体制まで揃っているとベストです。

中小企業が自社独自で体制を整えるのは現実的には難しいことも多いと思います。地域で活動している団体やコミュニティーを有効活用することがお薦めです。

対象労働者 

2008年に日本で学ぶ外国人留学生を2020年までに30万人に増やすことを目標とした計画を政府が定めました。日本の国際化を推進し、相互理解を深めながら、結果として日本の国際競争力を高めることが目的でした。この政策は一定の効果を上げ、2019年には留学生数が約31万人に達しました。

政府の留学生受け入れ政策の影響もあり、この時期に外国人労働者の雇用に踏み切った企業も増えました。この時期以降に採用された外国人労働者の間で、転職志向が高まるなど雇用の動きに変化が生じています。

↓参照先↓
(リンク先)総務省の一次情報を貼り付ける!

彼らは、様々な苦労を乗り越えて、今では企業内で重要な役割を果たしている人達です。彼らが成長した時期は、中小企業にとっての採用環境が悪化した時期と重なります。日本人労働者が採用できない状況で、優秀な外国人労働者の果たす役割はどんどん拡充し、彼らがいなければ現場が回らない状況になっている企業も多いのではないでしょうか?

こうした優秀な労働者の流動化が進みつつあります。対応を間違えると、現場で重要な役割を果たしている人の離職に繋がります。

特に、求人活動を久しぶりにする企業は要注意です。

外国人採用について、昔と今では採用環境が全く変わっているからです。詳細は省きますが日本人を採用する活動と同様の対応が必要です。こうした変化を知らず、比較的楽に採用できた過去の経験から、離職希望の外国人を引き留めることなく、退職が決まり、補充の求人を開始しても良い人を採用できない、という事例を多く聞きます。

外国人雇用の流動化が起きている理由

外国人労働者が自分たちの次のキャリアを考える時期になっていることが、雇用の流動化の主因です。

日本で働いている外国人労働者が自分たちのキャリアを考える際の選択肢として

・ 帰国する
・ 永住権を取得する
・ ビザの種類を変える


があります。

①:本国への帰国

技能実習生の多くは帰国することを前提に来日しています。一方、特定技能制度は、一定の条件の下で日本での長期的な就労を可能とする制度ですが、特定技能実習生にも、帰国する前提で来日した人が一定数います。

このことは雇入れ当初から明確ですし、雇用する側も理解していたはずです。

しかし、採用環境が悪化し人手不足が深刻になった結果、外国人労働者に帰国されると現場が回らなくなる切実な状況に陥っている企業もあります。

技能実習生の帰国は制度上定められたものであり、特定技能への移行をしない限り、これを変更することはできません。また、特定技能外国人で本国への帰国希望がある場合も、彼らの帰国意図を覆すのは難しいと言わざるを得ませんので、企業としては、帰国後の人材補充に迅速に対応することが求められます。

②:永住権の取得

永住権取得を希望する人もいます。

日本で暮らすことを選んでくれることは、日本人にとっては嬉しいことですが、永住権取得後も現職に留まる場合もあれば、新たなキャリアを求める場合もあります。苦労して彼らを雇い、育ててきた企業の立場では、受け入れ難いかもしれませんが、永住権を取得したら今の会社を辞めたいと考えている人もいます。

③:ビザの切り替え

一部の外国人労働者は、より良い条件を求めて転職可能なビザを取得したいと考えることがあります。。

ビザの切り替えには一定の要件が必要となります。永住権取得に比べれば直ぐに転職されるケースは少ないかもしれませんが、本人の希望の強さにより状況は変わります。転職できるビザを取得するために、現職に全力で取り組んでいるという人もいます。

日本で働き続けたい意向はあるが、今の会社で働くかどうかは分からないという外国人労働者に対しては、彼らの日本での就労意欲を尊重し、キャリアアップや自己実現を支援する制度を整備することが、企業の対応として重要です。

まとめ

雇用の流動化についてご確認いただけたでしょうか?

参考にはなったが、まだ具体的に何をすればよいかが漠然としている

という方は、ぜひ、個別にお知らせくださいませ。
具体的な問題解決についてご相談させていただきます。


あなたとお話しできるのを楽しみにしております。
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